活動履歴

2008年12月2日(火)
第3回講習会 開催報告

 東北支部では12月2日~4日、実技指導風景超音波探傷試験実技講習会を開催しました。2次試験直前の対策講座とは言え、実際にすぐ2次試験を控えた方から、今後の為にと初めて受講される方まで様々な受講生がおり、軽食を交えての終始和やかなムードで進みました。


 講習会後半には時間を計りながらの実践的な内容となり、何度も繰り返し練習するうちにコツも自信も身に付いた様子で、初めて参加された受講生は「様々なメーカーの探傷器操作に慣れる事ができ、参加できてよかった」と話していました。

また派遣された受講生からは「3日間の講習を終えた今は、確実に受かりそうな気がする」との心強いコメントをいただきました。


 次回は学科講習会となり、3月4日(入門)、5~6日(L1・L2)の予定となっております。参加ご希望の場合は当支部までお問い合わせください。


2008年11月7日(金)
秋季講演大会 開催報告

 平成20年度秋季講演大会が11月5~7日に東北歴史博物館(宮城県多賀城市)にて開催された。3日間の開催期間中の宮城県は比較的この時期としては暖かく、閉会間際に小雨がちらついたことを除き、好天に恵まれた。宮城県での開催は平成12年秋季大会以来、実に8年ぶりであった。

 オーガナイズドセッション「超音波による材料と欠陥の定量計測」、「鉄筋コンクリート構造物の検査のための非破壊試験方法」、「バイオメカニクスと生体機能計測技術」、「非接触超音波計測」をはじめ、104件の講演発表と活発な質疑応答が行われた。木村武美実行委員長(JSNDI東北支部長・溶接検査)からの開会の挨拶では、かつて陸奥国府「多賀城」が置かれ、東北地方の中心であった歴史ある多賀城市にて今回の大会を開催することとした経緯が話されると共に、今回の講演大会を無事開催できるに至ったことに対して、関係者各位に感謝の意が述べられた。
 上述のオーガナイズドセッションに加え、「配管・ガイド波」、「材料評価」、「超音波計測とシミュレーション」、「放射線・ラジオグラフィ、計測、分析」、「パルス渦流法」、「新しい渦流プローブとその利用」、「電磁的手法によるきず定量評価」、「応力・ひずみ測定」、「アコースティックエミッション」、「電磁的手法による材料評価」、「低周波磁界による鋼材のNDT」、「赤外線サーモグラフィ」、「電磁波計測の新しい展開」なる一般講演が全3室にて行われた。
 非線形超音波やアレイ超音波をはじめとする今後の利用拡大が期待される超音波法を用いた応力腐食割れや疲労き裂の評価に関する発表に加えて、鉄筋コンクリート構造物を対象とした研究が数多く発表された。また、赤外線サーモグラフィや電磁波を利用した今後の発展が期待される検査手法の発表に加えて、ブランド品、球状黒鉛鋳鉄やDLC薄膜等、様々な対象物に対する発表がなされたことが印象的であった。講演発表の様子

 初日5日には、2007年7月に発生した中越沖地震に対する特別セッションが設けられた。「柏崎刈羽原子力発電所における中越沖地震後の原子力機器の健全性評価」では新潟県中越沖地震の教訓と対策をはじめ、5件の興味深い講演がなされた。また、中越沖地震後の原子力機器の健全性評価委員会 検査WG主査の大岡紀一氏(JSNDI元会長・日本溶接協会参与)を司会に、同委員会委員長の野本敏次氏(東京大学名誉教授)他、5名の関係者をパネリストに迎えたパネルディスカッションが行われた。社会的に関心が高い大地震に対する原子力機器の安全性についてタイムリーに討論がなされたことは、今大会の一つの成果といえよう。
  
川島教授の特別講演 2日目の6日の夕方には、川島隆太氏(東北大学加齢医学研究所 教授)より「脳を鍛える」と題した特別講演が行われた。本特別講演は一般市民にも開放することとし、新聞記事等により事前に広く告知されたこともあり、地元中学生、一般市民の多数の公聴者を得て大変盛況であった。脳トレブームの火付け役である川島教授の特別講演は大変興味深いものであった。特別講演の冒頭に川島氏より、同氏も研究において各種先端機器を用いて脳の働きを非破壊検査しているとの話があり、聴衆の大きな関心を集めた。寝たきりの認知障害を持たれたご高齢の婦人が読み書きを通して驚くべき回復を見せられ、通常の生活が可能になるまで回復されたとの話には一同、大変驚き、改めて脳の機能の不思議さとその重要性を認識した次第である。

 6日の夕刻に開催された懇親会は、島田平八氏(JSNDI元会長・東北大学名誉教授)の乾杯の音頭で始まった。坂眞澄会長(東北大学教授)より、安全で安心な社会を持続していく上で非破壊検査の重要性が増してきている状況において、年に2回の講演大会は学術基盤の要である。認証活動と共に協会の両輪として、益々活発に行っていくとの抱負が語られた。また、元会長の大岡紀一氏が平成20年度原子力安全功労者表彰を受賞されたことが坂会長より報告され、大岡元会長がこのような賞を受賞されたことは本協会にとっても大変栄誉なことであるとの祝福がなされると共に、会場一同から盛大な拍手が送られた。

 益々活発となってきている講演大会を成功裡に終えることができましたこと、実行委員会一同、大変嬉しく思っております。改めまして参加者の皆様方ならびに関係者各位の皆様方に心より感謝申し上げます。

文責:秋季大会実行委員会委員、燈明泰成・東北大学

2008年9月26日(金)
見学会・講演会 開催報告

 東北支部は平成20年9月26日に恒例の見学会・講演会を行った。若干の小雨がちらつくあいにくの天候ではあったが、17名の会員の参加の下、見学させていただくと共に、同社会議室をお借りし、講演会を行った。

見学会の様子 見学に先立ち、沖田和彦氏よりDVD上映を交えた同社の概要説明をいただいた。東北特殊鋼は1937年に東北大学 本多光太郎博士の産学連携の思想に共感して設立されたとのことであり、以降今日まで、東北大学および同金属材料研究所等と活発な研究開発を進めている。昨今、盛んになってきた産学連携を今から70年も前から実践してこられたとは驚きである。なお、現在の主力製品はエンジンバルブ用耐熱鋼、および電磁ステンレス鋼であり、いずれも国内トップシェアとのことである。

 工場見学では、鋼材、溶鍛、試験、精密加工、冷鍛および熱処理工場の全てを大変興味深く見学させていただいた。自動化が大いに進められており、中でも製造された素材が立体的に自動収納、保管され、必要時に迅速に取り出せる仕組み等、効率的な生産ラインは圧巻であった。生産ラインには渦流探傷および超音波探傷が組み込まれており、鉄鋼産業の生産ラインにおいても大いに“非破壊検査”が活躍していることに参加者一同大いに興味を示していた。また、同社は磁気応用製品を独自に開発しており、軟磁性材料の保磁力を計測する自社製のHCメーターにより素材の品質保証をされている点に、製造現場における非破壊検査・評価の重要性を再認識した次第である。
東北特殊鋼にて
 見学に引き続き、2件の講演があった。1件目は坂真澄氏(日本非破壊検査協会会長、東北大学教授)であり「安心を得る非破壊検査」と題した講演をいただいた。同講演は先に9週に亘り日刊工業新聞で連載(平成20年7月23日~9月17日の毎週水曜日)された記事の第一回目(総論)を基になされ、近代非破壊検査の幕開けや国内外の非破壊検査業界の現状等、大変興味深いものであった。また講演の途中に中居倫夫氏(宮城県産業技術総合センター)が飛び入りで X線発見のエピソードを話される場面もあり、会場を大いに沸かせた。2件目は山田龍三氏(日本非破壊検査協会中部支部長、大同特殊鋼株式会社 計測・制御システム研究室長)に「特殊鋼製造プロセスでの非破壊検査の概要」と題した講演をいただいた。大同特殊鋼殿で現在活躍している検査技術、および将来に向けた最新の検査技術についてのご講演は大変興味深いものであった。また、中部支部の活発な活動状況についても話題提供いただき、支部活動について意見交換を行う等、大いに貴重な場となった。
見学を快くお引き受けいただき,また講演会場のご提供まで賜った東北特殊鋼株式会社殿,並びに貴重なご講演を賜った坂真澄氏、山田龍三氏の両氏には心より厚く御礼申し上げます。

 見学会・講演会に引き続き、とんとんの丘もちぶた館にて宮城県の秋の風物詩である芋煮を食しながらの懇親会を行った。島田平八 東北大名誉教授の乾杯の音頭で始まった懇親会は終始和やかで、大いに盛り上がった。話題の一つは本年11月5~7日に東北歴史博物館(宮城県多賀城市)で開催される日本非破壊検査協会秋季講演大会であった。当支部が発足して初めての全国大会を東北の地で開催することもあり、現在、当支部の一番の関心事となっている。秋季講演大会では、最近の「脳トレ」ブームの火付け役でもある川島隆太氏(東北大学加齢医学研究所教授)に「脳を鍛える」と題した特別講演をお願いし、大いに興味深い大会となるよう本部と連携して準備を進めているところであります。仙台で開催の秋季講演大会にて会員の皆様とお会いできますことを支部会員一同、心待ちにしております。

文責:東北大学大学院工学研究科 燈明泰成